石川美智代は自分に責任が及ぶ事態になると、「知らなかった」と言い、また前日や前々日に言った言葉を翻して違う話にすり替えることが多く、それが社長や他の関係者の不審感を募らせる。また、謝罪しないことも石川の特徴だった。

(写真:石川美智代)

社内の小金庫に保管していたダイヤの紛失盗難事件が起きた後に、社内では協議の場が何回か持たれたが、そこでも石川の事実をごまかすような言動があった。例えば、小川部長は石川とは再婚になるが、前妻と離婚する時に慰謝料を3000万円支払ったという話を社長や以前の社員も小川部長より聞いていて、その話を石川にした時には石川も黙って聞いていたが、別の機会に石川は「私は300万円と聞いていました」とか「300万円を分割で払ったと聞いています」などと全く違う話をする。そういう問答が石川との間ではたびたびあることで、社長はさすがに石川の言動を不審に思うようなったようだ。以前に小川部長の年収は3000万円ほどあったので、「贅沢をし過ぎたようだな」と社長が小川部長と石川の前で言ったことがあり、小川部長は認めたが、石川は小川部長を睨みつけ文句を言っていたようだ。

今から10年ほど前になるが、毎月の出納帳に記載されている8000万円以上の金の管理について会計事務所が社長に尋ねたことがあった。帳簿上では会社に現金が8000万円以上あるというのはおかしなことで、銀行口座に預金しておくのが当然だった。そこで社長が小川部長に聞いたところ、小川部長は「石川に聞いて確認しますので、1両日お待ち戴けますか」と言う。それで小川部長の返事を待っていると、2日後に小川部長が来て辞表を差し出した。社長が「辞表はいいが、私が聞いているのはこの現金が何処にあるかということだ」と改めて尋ねると、小川部長は立ったまま何も言わずにいたが、しばらくして「すみません、私が使い込みをしました」という。社長は呆れ返ったが、日々の出納帳を付けている石川も小川部長の使い込みを知っていたはずなので、それを小川部長に確認すると、「自分の責任で全額返金しますので時間を戴けませんか」と言っていたが、小川部長はすぐに返済できる金額ではないので、「保険に入って、それを担保代わりにします」と言って、自分の席に戻って行ったが、石川が社長の所へ来たのは、それから2日ほど経ってからで、しかも「小川部長の件でお話があります」と言いながら、石川が語ったのは「私は何も知りませんが、小川部長に聞いたら『社長に話をするので』と言っていました」という。この応対に社長は「それはおかしいだろう。君が日々の金を帳簿につけていて、8000万円以上の現金が何処にあるか分からない状況になっていたら、すぐに小川部長に確認するか、少なくとも私に報告をするのが当たり前ではないのか」と言うと、「小川部長が『君には関係ないので、私が社長と話をする』と言うので、黙っていました。でも何も知らなかったんです」と、無責任なことを言っていたが、小川部長に社長と話した結果はどうだったかくらい聞くのは当然のことで、それを放っておくということは有り得ないことだ。全く責任感がゼロだ。ちなみに石川は係長待遇で手当てが付いていたが、肩書に見合う仕事をしているとは全く感じられず、逆に会社に損害を与えるようなことを平気でやってのけていたのだから給料泥棒と言われても当然だった。

社長から巨額の借金を重ねていた知人の一人が10億5000万円、またもう一人も10億円の保険を担保代わりにかけていたが、これも小川部長の保険料の使い込みが原因で2件とも失効する事態になった。いくつもの疑念を確認する協議の中で改めてその話が出ると、石川は「それは知らなかったです」と以前と同じ言葉を繰り返した。2件の大口の保険が失効したことについては、それまでに何回も出ていて石川も聞いていたはずだった。石川は今までにも「過ぎたこと」と言わんばかりに「終わったことじゃないですか」とさえ言って謝罪もせず、終わったことは関係ないと平然と言う神経は普通の女性ではないと誰もが感じたようだ。2人の保険が社長からの借金の担保として掛けられ、小川部長が保険料を横領していた事実については、小川部長の社長への謝罪文(遺書)の一部に明記されている。小川部長は体調を崩し会社を辞めた後、使い込み金の返済に悩み自ら命を絶った。この自殺に伴う石川の責任は大きすぎる。

小川部長の使い込んだ8000万円以上の金については、不可解なことに毎月の出納帳に残り続け、平成30年1月現在で3000万円以上も増えて記載されていた。不明金が増額した理由は、小川部長か石川がその後も新たな使い込みをしていた以外には無く、使い込みの内訳は全て分かっている訳ではないが、小川部長が返済の担保代わりに加入した保険の毎月の保険料や小川部長の両親の旅行費、その他、いずれも小川部長が自分の財布から出すべきものだったが、会社の金で処理していたという。これらの使い込みについても石川が知らぬはずがなく、出納帳上で誤魔化し続け、詳細を会計事務所には報告していなかったことになる。

石川は小川部長が年収3000万円以上あることに魅力を感じて一緒になったと思われるが、小川部長が内勤になり毎月の収入が少なくなると、小川部長にきつく当たり出したようだ。それで小川部長の使い込みが常態化した可能性が高く、また、石川の小川部長への対応がきつくなるにつれ、小川部長は退社時間がドンドン遅くなり、仕事はないのに毎日午後10時過ぎまで会社にいるのが当たり前になり、日曜日も月に1回くらいしか休まないという生活が続くようになった。社長が小川部長に訳を聞くと、小川部長は多くは語らなかったが、やはり石川が起きているうちには家に帰りたくない、というのが本音だったようだ。帰宅時間が遅く日曜日も出社するのが常態化しているのを見て、社長が小川部長に「日曜日は休んで、平日は午後8時には帰りなさい」と言っていたのを石川も何回も聞いていながら、今になって「仕事が多くて帰ることが出来なかった」と反発していたが、集約すれば1日に1時間程度の仕事量しかないにもかかわらずあまりに身勝手な言い方に、社長が「君はもっと反省すべきことがたくさんあるのではないか。小川部長が家に帰りたがらないのは事実で、本人がそう言っていたことだ」と石川をたしなめるほどだった。小川部長自身が普通の人間の1/10くらいしか仕事ができないと語っていたことは周囲の人間も何回も聞いていた。それで、小川部長が認知症の疑いがもたれるようなことになったのは石川に大きな原因があると、関係者全員が口にするほどだった。

石川が自分の責任を回避して「知らなかった」という言葉を連発する例は他にもたくさんあるが、社長が会員になっているエスカイヤクラブの会報も、社長が多忙な時には見ないことが多いようだったが、石川はそのまま1年以上も捨てていたために、キープしていたボトルを100本以上も無駄にしてしまった。エスカイヤクラブは全国に多くのチェーン店があり、ボトルをキープしていれば、どの店を訪れても飲めるという特長を謳っている。そして同クラブではボトルキープは期限がなかったのだが、それを1年間に変更するという重要な情報が会報に掲載されており、それを知らなかったため金額にして300万円以上の損害が出てしまった。しかし、石川からは一言の謝罪もなかったようだ。

会社の関係者が言う。

「石川は昭和59年に入社以来、30年以上も勤務して来たが、今、はっきり言えば、亡くなった小川部長と石川が会社の経営を根底からおかしくしたのは間違いない。会計事務所の大先生も同様に考えていた。特に新宿センタービルから本社を移転させた平成14年頃以降は、小川部長による莫大な金銭の横領や、他にも文房具等も小川部長と石川は自宅に持ち帰り使用するという公私混同が甚だしく(小川部長自身が部下等に言っていたこと)、洗剤等も必要以上に同じものを多く購入してどれも使いかけのような状態で放置しているかと思えば、3台ある冷蔵庫も実際には1台しか使用していないのに後の2台も通電させていたりするなど無駄が多すぎた。会社の経費節減は何回も言われていたはずだが、石川は全く気にしていなかった。また、会社に届いた中元や歳暮の品は社長の自宅に送るのが基本だったが、それも石川はいい加減にして放っておいたために賞味期限が切れてしまった食品や飲料が包装を解かない状態で見つかるということもあった」

石川に対する周囲の関係者たちの評判は異常なくらい悪いもので、小川部長と石川による使い込みは会計事務所以外は誰も知らなかったが、あまりにも石川の評判が悪いので、社長は何人もの社員や関係者に誤解しているのではないかと話していることも関係者の誰もが何回も聞いていたが、実際には誰もが「社長の前では猫を被っているが、あれほど性悪な女性はいない。こんな女性は初めて見た」と口を揃えるほどだった。辞めた社員や関係者等は「会社に行けば、どうしても石川さんの顔を見ることになるので、会社の近くの喫茶店か社長の自宅マンションのロビーで会えませんか」と言う者がほとんどだった。

本社が移転した先のビルでは、社長室と事務・業務のフロアーが別になり、小川部長と石川だけが事務・業務のフロアーにいることが多くなり、社長の目が届かなくなっていた。そうした中で、会社に社長を訪ねて来た関係者や元社員が目撃したのは、石川が小川部長に対して「小川部長、何を言っているのっ!」と言った口調で強烈に咎める声がフロアーに鳴り響いているようなことがたびたびあったという。これは小川部長が不手際を冒した時にのみ使う言葉だが、自分が気に入らない時などにも使っていたようだ。誰が聞いても、驚くだけではなく会社内で夫婦の会話同然の公私を混同した話し方をする石川に相当な違和感を持ったようだ。本人は公私混同には気をつけていたと言っていたが、全く逆であった。

石川のいい加減さが現れている一つがタイムカードの打刻だが、午前10時の出社時と午後6時の退社時は当然として、実際には打刻されずに手書きで出社時刻と退社時刻を書き入れているものも多くあり、その分をお手盛りで時給の計算をしているのは問題で、この分も全て遡って清算すべきものとして石川に請求するのは当然だった。

ダイヤの紛失に係る管理責任、会社に出入りしていたMの現金窃盗と帳簿上での使途不明金をMの責任にすり替えた疑いが持たれている責任、さらに石川自身の給与に係るお手盛りの計算による過払い金、また会社が保管していた顧客への贈答品の紛失盗難等について、石川には金銭での責任の履行を訴訟により求めている。しかし、それ以上に刑事的責任を問われることも当然有り得る。そうなってからでは取り返しがつかないことを石川は認識するべきではないか。これだけいくつもの事件が重なれば、刑事的責任を問われることは間違いないはずだ。(つづく)