間違いだらけの一審判決を「再審」で覆す(2)

②原告と西義輝の関係を悪用した借入を巡る対応

品田幸男裁判長の誤った事実認定と誤判

一審判決「合計上代45億円相当の価値を有するという本件腕時計を合計4億円で販売することを委託するというのは、そもそも経済的に極めて不合理な行為というほかないところ、前記約定書(西が代理人として高級時計を預かった際に原告に交付した)においても、販売価格の決定過程に関する客観的かつ合理的な説明はされていない」(判決文14P26L)

鈴木は高級時計を扱っており、原告に売りに来たこともあったくらいだから価値を知っていた。それ故、鈴木が多額の借金で困っていることを知った原告が鈴木を助けるために原価を大幅に割った価格にしてあげた原告の心情に気づいていて感謝したはずだ。鈴木はそのうち3セット6本を6億円で知人に預けていた。 

「本件絵画等の委託販売については、エフアールが会社として責任をもって行うことが合意されていたとみるほかないから、原告から本件絵画等の販売委託を受けたのはエフアールであり、被告個人ではないというべきである」(判決文16P5L)

販売委託に対する責任がエフアールにあると言うのであれば、天野は同社の代表取締役(最高責任者)として全てを承知していて必要に応じて同席していたはずだが、手形交換他一度も商取引には同席していないし立ち会ってもいない。全てが鈴木個人であることは周知の事実であった。絵画とピンクダイヤは鈴木個人が原告に売りに来たもので、鈴木の希望通りの3億円で買って上げたが、絵画について鈴木は「近々持参します」と言っていながら一度も持参していない。実際に現物の絵画を見ないで買う人はいないと思うが、高級時計と同様に鈴木が困っていて助けようとしていることを裁判官は全く理解していない。それどころか、鈴木はピンクダイヤと絵画は原告から買ったものだという全く逆の主張している。こんな個々の解釈で間違いだらけの裁判官が正しい判決を出せるはずがない。

出来事及び経緯の事実

*原告による鈴木への貸付は終始個人的な対応で一貫していた。それまでに10数年の交流があった西からの紹介であり、その時点で鈴木が創業したエフアールの経営危機から資金繰りに悩み、10日で1割以上の金利でも貸してくれるところが無いほどの状況に追い込まれていた鈴木は自己破産か自殺しか選択肢が残されていなかった、その鈴木の窮地を原告は西から聞かされ「助けてあげて下さい」と何回も懇願されたことから、協力したものである。原告は個人として金融業の免許は所持しているが、それを本業にしたことは一度もない。従って、鈴木に対する貸付も個人対個人の信用という枠から出ることは無く、担保を取らず約束の返済期日が遅れても一度も原告から催促することも無かった。手形が担保として差し入れられたのは、借入を受ける当初において鈴木がエフアールの手形を担保に差し入れるとともに西が保証をする、返済は手形の支払期日の3日前までに現金を持参すると約束したことによる。 

鈴木義彦の虚偽の言動

鈴木はそうした原告と西の関係を知って、極めて悪意に満ちた借り入れを実行したのであり、それを悟られないように常に西を前面に立てて原告に対応したのである。西が原告に「返済期日の3日前までに現金を持参するので、手形を金融機関には回さないで欲しい」という要請をして「お願い」と題する書面を書いたので原告はそれを厳格に守ったが、鈴木は一度も返済約束を守らず、支払期日を繰り延べするばかりで、金利についてはまとめて返済時に計算するようにと原告に頼んでいた。 

*平成9年10月15日に西と鈴木が原告の会社を訪ね、3億円の借り入れを受けた。鈴木が持参した借用書には、金利が年36%、遅延損害金が年40%と明記され、但し書きには日本アジア投資の投資証券1億円を担保にするとあったが、融資を受けて間もなく鈴木は担保に入れた投資証券を「資金繰りのために」と称して西に持ち出させ、その後、返却は無かったから、事実上無担保の状態になった。その後、原告が何も言わないことをいいことに差し替えるべき担保を入れず放置した。  

*鈴木は宝飾品等を原告に持ち込み、鈴木の言い値の1億2550万円で買って貰ったりしていたが、本来は鑑定してからになるが他のものと同様に持ち込まれた宝飾品にそれだけの価値はなかった。またこれとは別に平成10年5月20日頃までに鈴木は原告にピンクダイヤと絵画の話を持ち込み、3億円の金額を提示して原告に買ってもらったが、絵画についてはすぐにも持参すると言いながら、一度も持参しなかった。絵画はその時すでに他の担保に入れていたため、原告に販売できる状況にはなかった事実が後日判明した。持参もしていない絵画の現物を見ないで買うことが鈴木を助けるためということがどうして分からないのか。裁判官は鈴木がピンクダイヤと絵画を原告から買わされたと判断しているが、それさえも分からずに正しい判決が出せるとは思えない。 

*原告が所有していた高級時計を西が鈴木の代理人として「売らせてほしい」と言って1セット上代10億円の超高級のペア時計(バセロン・キャラ)4セットと男性用高級時計5本(上代約5億円でペア時計と合わせトータル約45億円)を4億円で預かって行ったが、その後、現品の返却もなく代金の支払もなかった。

*平成10年5月28日に鈴木が原告に電話を入れ、単独で原告の会社を訪ねた際に、前述のピンクダイヤと絵画の販売委託を受ける「念書」と8000万円の融資を受けるための借用書を用意していた。原告はその3日後に警視庁が親和銀行不正融資事件に着手し鈴木を逮捕するとの情報を得ており、それを伝えると非常に驚き、しばらく何か考えていたようだったが、前述の念書と借用書を提示して、ピンクダイヤと絵画については販売委託を受け、8000万円については土下座をして涙を流しながら懇願したため、原告が貸付に応じると、鈴木は「このご恩は一生忘れません」とまで言った。そして、「西会長には黙っていてください」と口止めをしたので原告はその約束を守った。ちなみに鈴木が持参した借用書には返済日を約1週間後の「6月3日」としており、原告は返済できないことが分かっていても鈴木の心境を考え鈴木に対して何も言わなかった。

*鈴木はすでに自らが逮捕されることを察知していた模様だった。それ故、身の回りの物品を現金に換える目的で「念書」と「借用書」を用意して原告の会社を訪れたとみられる。

*原告の会社への来訪に前後して、鈴木は西の妻が開いていた店舗(オークションに出品する商品の販売)を訪ね、西の妻から1800万円を借り入れている。その際、鈴木は「急いでいる」と言って、借用書も書かず現金を持ち去った。また西に対しては、エフアールを存続させるために側近の天野裕常務(当時)に協力して債権者への対応を依頼するとともに、鈴木の愛人(サラ)への対応も依頼した。

*鈴木が原告の言う通り平成10年5月31日に逮捕されると、西は鈴木との約束を守り、その翌日からエフアールの存続に向けて天野常務への協力を惜しまなかった。天野常務と共に債権者を回って頭を下げる場面もあった。また鈴木の愛人サラにも月に一度は50万円を届けていた。サラには鈴木との間に娘がいる。後日、原告が鈴木に8000万円を貸した事実を知った西は「妻も1800万円を貸した」と原告に話した。また西が鈴木に宛てた遺書の中で「サラのマンションには原告から借りた8000万円のうちの5000万円があったが、それを最初に知っていれば自分が毎月50万円を届けることは無かった」と述懐している。

*西はエフアールの存続に関連して、天野常務に頼まれ、鈴木が原告に差し入れていた手形(13枚)を決算対策のために一時的に預かりたいと原告に頼み、原告は了解して手形を預けた。鈴木は裁判で「そうした事実はない」と否定した。しかし、和解協議の際に「天野より社長(原告)には本当にお世話になったお礼を伝えて下さい、と言われました」と鈴木自身が述べており、それは西の録音したテープに入っていた。

*鈴木は「念書」について「私から手形を受け取っているにもかかわらず、当時のエフアールの常務の天野に絵画やダイヤの念書を連名で書かせろと原告が念書を要求した」と主張して、原告が「金融のプロ」「高利貸」であることを強調したが、原告が天野の連名等を強制したことは一度もないし、持参した「念書」にはすでに天野の名前が記入されていた。

*なお、鈴木は起訴後の平成10年12月中旬に保釈されたが、原告から借り入れた債務について金利さえ払っていなかったが、鈴木自ら原告に連絡を入れることは一度も無かった。また、西が「鈴木の慰労で温泉にでも連れて行ってやりたい」と言うので原告は100万円を西に渡したが、鈴木は逮捕の3日前に8000万円を借り入れし、また3億円で買ってもらった絵画とピンクダイヤの販売委託のこともあったので、保釈された後には真っ先に原告にお礼の挨拶をするのは当然の事であったが一切なく、鈴木には常識が全く無かった。

③親和銀行不正融資事件での鈴木義彦の対応 

品田幸男裁判長の誤った事実認定と誤判

鈴木が親和銀行不正融資事件や山内興産事件でどのような手口を使い、相手を騙したかについて検証した気配が全く見られず、当然、鈴木の前科前歴を含めた人間性についても考慮した形跡はなかった。鈴木は親和銀行事件で有罪判決を受けたが執行猶予がついた。親和銀行に対して和解金約17億円を支払ったためであるが、その資金の出所を的確に追及していれば、合意書に基づいた株取引が継続して実行された事実が裏付けられた。鈴木に対する判決は平成12年9月に言い渡されたが、保釈から2年に満たない期間でこれだけ巨額の資金を調達した経緯を検証しないことに問題がある。しかも鈴木は山内興産に対しても和解金約4億円を支払っている。いずれも判決文には反映されていない。

出来事及び経緯の事実

*鈴木は、原告の指摘通り、平成10年5月31日に警視庁に逮捕された。親和銀行からの不正融資を受けるために設立した子会社の役員に就いていた大石高裕も同じく警視庁に逮捕された。

西は鈴木に頼まれ田中森一弁護士(ヤメ検)を親和銀行に紹介し、辻田徹頭取(当時)に対する美人局事件に関わった総会屋と暴力団を排除するために協力したことで鈴木は新たな融資を引き出すことに成功したが、持ち込んだ担保物件が二束三文の土地や宝飾品であったり、偽造宝石であったことから、同行から受けた融資金100億円以上のほとんどが不良債権化していた。 

鈴木義彦の虚偽言動

*鈴木は親和銀行に担保としてリトグラフ(数万点)を差し入れたが、これは西が「オークションに出して販売したい」と言って原告から預かったものだった。鈴木は同行から融資を受けたが、原告には一度もお礼の連絡を入れることは無く、西もまた原告に報告しなかった。

*鈴木は取り調べの過程で自身の罪を軽くするためか、西の関与を強調することを忘れず、西が親和銀行の幹部役員と面談している場面を撮影した複数のビデオテープを警視庁に提出していた。そのため西も事情聴取を受けることになったが、ビデオテープの存在すら知らなかった(当然、面談を撮影されていた事実も承知していなかった)西は驚き困惑したことを鈴木に宛てた遺書に書き記している。

④山内興産から騙し取ったタカラブネ株を巡る鈴木義彦の対応 

出来事及び経緯の事実

*鈴木はクレスベール証券に在籍していた紀井義弘からの情報を得てタカラブネ株を大量に買い占めていた山内興産の末吉和喜と面談し、末吉からタカラブネ株式200万株(時価約20億円)の購入と株価の高値誘導を依頼されたのを利用して、同株式を預かり、西とワシントングループの河野博昌に依頼して株価を高値誘導させる中で証券金融会社や証券会社を通して売却し、鈴木個人とエフアールの資金繰りに充てた。

*西は自身が書き記したレポートの中で「鈴木氏の目的は、タダで株券を預かり、あわよくばタカラブネ株価の値上がりにより多額の利益を手にすることでした。ただし、失敗した場合は、タカラブネ株価の値下がりによって損失の発生を口実として元本を返還しないように仕組むやり口であり、株価の上下に関係なく、鈴木氏には何のリスクも無く現金が入って来る可能性があったためにやったこと」と記している。山内興産(末吉)は、後に鈴木に対して不信を抱き、株券の返却と損害賠償を求める訴訟を起こしたが、この実例は、まさに鈴木が原告をスポンサーにして西と株式投資を仕掛けたやり口そのままだった。(以下次号)