合意書と和解書を無効と判決した裁判官の重大なる責任

裁判官が判決で合意書と和解書を無効としたことが真実を決定的にゆがめたことは間違いがない。この点について、読者より投稿が寄せられた。長文になるが全文を掲載する。

裁判官は合意書を以下の通りの理由で無効としている。①定義されるべき分配対象利益の内容及び範囲は、余りにも無限定。②分配対象利益の発生原因についても「売買、売買代行、仲介斡旋、その他あらゆる方法で利益を上げる業務」とされているだけで、被告や西の具体的な役割や利益を上げるために用いる具体的な株取引のスキームは定められていない。③分配利益の有無、および額を当事者間で的確に共有する方法についても合意書の3項が被告をして「本株取扱において、何らかの入金があった時は、一旦すべての金額を甲(原告の事)に入金」させ、5項が被告及び西をして「本株取扱において全て報告」させるとして他に定めがない。④本件全証拠によっても、原告、西及び被告が、①ないし③について具体的に協議したり、個別の契約を締結したりして、株取扱合意書の内容を補完したといった事実は認められない。この様に、株取扱合意における分配対象利益の内容及び範囲が余りに無限定であることからすると、株取扱合意は、被告に対して法律上の具体的な義務を負わせる上で最低限必要な程度の特定すらされていないと言わざるを得ない。⑤株取扱合意の適用対象となる分配対象利益が④の通り無限定なものであるにもかかわらず、平成11年7月8日から和解協議のあった平成18年10月16日までの7年以上の間に分配対象利益の分配が2回しかなく、しかも、その間に株取扱に関する資料等に基づく詳細な報告が一度もされた形跡がない事は、仮に株取扱合意書が継続的に効力を有していたとすれば、それと整合しない事実であるというべきである。

以上、ほぼ原文のまま重要と思われる部分を抜粋して書いたが、裁判官は準備書面をよく読んでいないし、背景を全く理解していない点を強く感じる。つまり、合意書を作成するまでの経緯を無視しているという事だ。この合意書作成の根本には、鈴木と西がA氏に莫大な借入金があり、それを返済していないため、株取引で利益を上げた中から返済をしていくという約束が前提になっている。そして株取引に当たって、A氏が新たに資金支援までする為の約束事が記載された書類だという事を裁判官は認識していない。こんなに長々と持って回った言い方をして焦点がぼやけている判決文は滅多にないと思う。

裁判官が合意書を無効とする理由は前述したとおりだが、最終的に「平成18年10月16日の三者協議に至るまでの間に、株取扱合意の履行が適正に行われているかについて三者間で協議がもたれなかったというのであるから、一層不自然というほかない。これらのことは、株取扱合意が三者間で継続的に効力を生じていたとの原告の主張に対し、根本的な疑義を抱かせる事情と言える」と締めくくっているが、これも事実を全く理解していない、もしくは無視している。7年間の空白は、鈴木が株取扱合意書に違反した為であり、A氏に何の落ち度もない。これは、株取扱合意書が破棄されたと思い込んで安心して株取引を継続していた鈴木と、合意書を手元に保管して鈴木と西を信頼していたA氏との違いである。裁判官が言うように合意書が無効なものであるならば何故、鈴木はその合意書を10億円もの報酬を払って西に破棄させようとしたのか。そして、平成18年10月13日のA氏との面談で合意書が存在していることを知った直後に鈴木が和解協議に臨んだ事実を考えれば、真実が明らかになる。鈴木は、470億円の隠匿利益がバレないように、早々に偽りの金額60億円を前提にした和解書に署名指印をしたのである。これが和解協議の真相である。

株取扱合意書は法律の専門家が作成したものでは無いので隅を突けば不充分な個所が多々ある。しかし、この裁判は「不自然」で「不整合」で「悪辣」な被告鈴木の言動を訴えたものなのだ。被告と西は、株取引で起死回生を狙ってA氏に資金援助を願う為、そしてA氏に安心感を持たせるために作成した合意書なのだ。裁判官はその事、所謂、A氏を騙す為の道具として合意書の作成を企んだ鈴木と西の真意を全く踏まえていない。A氏は常に、鈴木と西からの報告を待ちわびていたが、鈴木本人がA氏と会う事を避け、西に「今、海外に行っています」「1DKの一室で一人で頑張っているので長い目で見てやってください」と言わせ、時間稼ぎをしながら、自分達は宝林株に集中して株取引を実行し、A氏の資金で買い支えて株価を高値に誘導していたのだ。相場師の西田晴夫の協力や、紀井氏と茂庭氏をスタッフとして使っている事もA氏には報告していない。要するに合意書の約束を反故にしてA氏を蚊帳の外に置いたのは鈴木と西なのだ。そして、宝林株で約160億円を得たことも報告せず、西に15億円の「見せ金」を持たせ、A氏を安心させたのだ。短期間で5億の配当を受け取ったA氏は合意書の通りに株取引が行われていると信じ、株取引にはあまり精通していないA氏は、その後の事は2人に任せたのだ。鈴木はオフショアに三社のペーパーカンパニーを用意し、杉原弁護士を使って金融庁に提出する宝林株の「大量保有報告書」には資金の出所についてA氏の名前を隠し、紀井氏の名前を使って偽装させた。この様に自分が利益を独り占めする作戦を着々と実行していたのだ。そして宝林株で得た利益金を横領してその資金を元手に様々な株を取り扱った。その作業を担当したのが紀井氏と茂庭氏であったのだ。裁判官はこの実態を何と考えるか。鈴木は、西と紀井氏と茂庭氏の間の情報交換を遮断し、3人を操った。株取扱の情報はA氏には全く届いていなかったのである。裁判官は被告が合意書の約束を守ったか、A氏を騙して利益金を隠匿しているかを解明したうえで株取扱合意書が有効か無効かを判断しなくてはならなかった。それ故、原告側の準備書面を全く読んでいないのではないかという疑義が生じる。裁判官には是が非でも株取扱の合意書の有効性を否定しなければならない理由でもあったのかとさえ思える。

裁判官は紀井氏の立場を理解しておらず、重要な証言を取り違えて無視してしまった。紀井氏は鈴木に指示されて株の売りを任されていた為に、鈴木が扱った株の銘柄や利益金の詳細は当然知り得る立場だった。知っている事実を証言しただけで、株取扱合意書の存在を全く知らず、A氏に資金援助を受けている事も知らなかったのである。紀井氏は鈴木の指示で取り扱った株銘柄の詳細と、470億円の利益金の詳細は把握していたものの、それがA氏に配当しなければならない性質のものとは全く知らなかった。しかし、その証言の内容はA氏と鈴木、西にとっては重要なことで、裁判にとっても大事な証言だったが、鈴木の「紀井は、ただの電話番」的な発言に裁判官も騙され、紀井氏の立場を軽視して証言を無視してしまった。鈴木がA氏に内緒で株取引を継続していて、莫大な利益を上げて海外に隠匿している事実を見逃した責任は大きい。そして、この判断ミスは、わざとではないかという疑いが残る。

裁判官は、平成14年6月27日付の鈴木の借用書(15億円)について、同年12月24日に鈴木が持参した10億円は借用書の15億円を両者同意で減額して10億円としたものとし、平成11月7月から9月までに支払った15億円(これは裁判官の勝手な言い分で実際は鈴木の7月30日の返済分は5億円)と合算して25億円は返済金としてA氏に支払われたとしているが、金の出所が不透明で根拠はなく、鈴木の発言には証拠もない。裁判官による解釈は辻褄合わせに過ぎない。裁判官は、株取引合意(合意書)を無効としている為、頑なに株利益の配当としての金銭のやり取りは認めないという姿勢である。これではA氏の請求、主張は全て認めないと宣言しているのと同じだ。

被告の鈴木は、和解協議については、株取扱合意書の無効を主張している事から和解書の事を「法的には発生していない債務に関する争いを解決するものとして和解契約を締結したのである。従って、合計50億円の和解契約における意思表示は、表示に対する内心的効果意思を欠くものであり被告自身もその事を認識しながら敢えてしたものと言うべきであるから、その行為は心裡留保に該当する。従って、和解契約は無効である」と主張している。つまり、「合意書が無効であるから50億円の和解金契約は成立しない。まして、心裡留保に該当する行為であるから無効だ」と主張している。そして、裁判官がこの主張をほぼ全面的に採用して、判決でも「株取扱合意書が無効であるから、原告と被告との間の株取引合意書に関する事柄についての原告の主張は全て認められない」と言っているのである。そうであれば鈴木は何故、和解協議の場所に行ったのか。10月13日にA氏から合意書を見せられた時に何故「こんな書類は何の効力もありません」と言い切らなかったのか。後で、強迫とか監禁されたと言い、心裡留保で和解書は無効などと後付けの嘘の主張をしても全く認められることではない。裁判官が認めたことに大きな疑義を感じる。

この裁判は、貸金返還請求にしても株取扱関連にしても、乙59号証に代表される様に、長谷川元弁護士と被告との辻褄合わせと捏造による陳述書に翻弄され、一方的で不公平な判断を出し続けた裁判官の責任は重大だ。特に、証券業界、貴金属宝石業界、金融業界に対する余りの知識不足が裁判の行方を誤らせた。世間では、優秀で清廉潔白な人というイメージを持たれている裁判官の判断を狂わせた理由は何だったのだろうか?   (つづく)