「後藤悟志」に発覚した違法錬金術

太平エンジニアリングは空調設備工事とビルメンテナンスを手がける業界で指折りの会社だが、平成8年以来同社の社長に就いた後藤悟志は極めて評判が悪い。金銭欲が異常に強く、公私混同が甚だしい。後藤悟志の女好きは有名で、特に背の高い女が好みのようだ。下請会社や後輩達に合コンを企画させ、お気に入りが見つかると直ぐに金持ち自慢とブランド品のプレゼント攻勢が始まる。プレゼントで堕ちない相手には最終手段として現金100万円を用意する。世の中全て金で解決出来ると思っている証だ。しかし、このプレゼント攻勢の成功率は低く、100万円を持ち逃げされることも多い。後藤自身は、それをみっともないと思わないのか。

(写真:後藤悟志 資産2000億円と言われながら、金銭欲は異常で違法を繰り返す)

金銭欲の強さが異常という評判も、富裕層(セレブ)に対して一般庶民が向ける嫉妬ややっかみが原因となることが多いが、後藤の場合は正真正銘のドケチであるという。

「後輩達と旅行会を企画したり、飲み会、ゴルフなども後藤が自分から声をかけておいて、支払いは割り勘にするのが当たり前になっている。合コンを開くときは、子会社が経営する店、ゴルフ場は自社所有の馬頭ゴルフクラブといった具合だから、いくら飲んで食べても自分の腹は痛まず、誘われた連中は会社の売上向上に利用されたと思う。後藤は中途半端な金持ちではなく、周囲には金持ち自慢をしていて、誘われた連中は招待と思っているから裏切られた気持ちが強く表れて、後藤は人望が無い。銀座のクラブでは金持ち自慢話を散々やらかした揚げ句に、会計時は必ず値切り交渉をする。彼の姿は滑稽というしかない」

と後藤を知る関係者が呆れて言う。後藤は自分自身を「男の中の男」「金払いが良い男」と吹聴しているが、それを聞いた誰もが苦笑しているのだ。とはいえ、これが個人の範囲であれば目をつぶる者もいようが、後藤がトップに君臨する太平エンジニアリングでは、さらに過酷な社員いじめや下請いじめも同然の指示が徹底しているという。 

民間調査機関の調査によると、同社は毎年30人前後の新卒を入社させているが、3年後の離職率が10%から15%はあるという。太平エンジニアリングは社員数が1600人前後いるが、常時中途採用をしている関係から殆どの社員達が「年間休日100日以上、残業30時間以内」という就職情報誌の雇用条件を信じて就職する。ところが、異口同音に後悔を口にしている。基本給を労働基準法内の最低に抑えられ、年間の賞与や月々の手当が基本給ベースのために、どんなに働いても年収アップは非常に困難な仕組みとなっているというのだ。また、下請け会社に対しても「一友会」という下請業者会(加盟約1000社)に一定の支払いサイトを設けている。また下請会社同士の見積り競合を強いているので、仕事を受注しても余裕など全くない。後藤は下請会社を完全に支配し、更に本社の利益を確保するために、下請会社から会費を徴収するだけでは飽き足らず、子会社の太平フィナンシャルサービス(以下太平FS)という会社を使って、下請会社に対するファクタリングサービスを実行している。民間調査機関の調査でも「下請けへの支払い代行を子会社のファクタリング会社に委託している」と明記しているほどだから、下請会社に対する支配は徹底している。

支払サイトを長期(最長120日)にすることで、下請会社は資金繰りのために太平FSを利用するが、この際に担保となるのが太平エンジニアリングからの支払い代金で太平FSは決して取りっぱぐれがない。問題は太平FSが設定している手数料で金利換算すると、年24%(月2%)にもなる暴利なのだ。こうした下請業者への扱いは不条理そのものだが、後藤悟志は温情ある行為と公言するのだから始末に負えない。下請なんぞいくらでも取り替えが効くというのが彼の本音であろう。

後藤の経営手法で太平エンジニアリング自体が年商700億円前後の黒字経営を維持しているのだから、一部には後藤の経営手法に一定の評価があるかもしれないが、どの企業でも真似ができるものではない。事と次第によっては公正取引委員会や厚生労働省が調査に動き出し、後藤悟志が優越的立場を乱用する指示を出している実態が明確になれば、太平エンジニアリングは業界での信用を落とし、ブラック企業としての烙印を押される。

〇敷地400坪にプール付きの豪邸

先に後藤悟志が大金持ちであることを自慢していると述べたが、個人資産は2000億円と言われる超セレブであるという。太平グループから受け取る報酬は年間で3億円は下らないそうで、東京杉並区内の閑静な住宅街に建つ瀟洒(しょうしゃ)な自宅は敷地が約400坪(時価約5億円)もあり、豪邸にはプールがあるほか、ベンツ、ポルシェ、ランボルギーニ、ロールスロイスなど10台以上所有する高級外車の一部を格納するために3台は優に納まる大型のガレージが門扉横に備わっている。また、数億円のクルーザーを所有しているほか別荘も多く、軽井沢に始まり、御殿場、湯沢、伊豆今井浜などに保有している。湯沢はコンドミディアムだ。実兄の高志が代表を務める西武ホールディングス系列のプリンスホテルも近い。今迄荒稼ぎをしてきた金を御殿場の別荘の建て替えに充てているのは正に会社私物化の証でもあるし、後藤自身が建て替え造成工事から足繁く通っていたために、土の中に何か埋め込んだのかと一部の人から噂になっている。栃木県の那須にはゴルフ場を有しており、このゴルフ場は元の経営者が民事再生法の適用を受け競売を経た有名物件だ。名称を馬頭ゴルフクラブという。後藤悟志が巧妙なのは、こうした自宅や別荘等の不動産のほかいくつもの動産が、実は太平グループ会社の所有になっていて、個人の節税対策を万全にしていることである。

(写真:後藤悟志邸。東京杉並区内にあるが敷地約400坪で、土地だけでも約5億円と評価されている)

後藤の自宅の所有名義は、土地の半分が母親で残りは太平エンジニアリングであり、悟志自身は殆ど所有していない。これも税金対策の一環だろうが、因みに太平エンジニアリングの主な株主構成を見ると、後藤悟志(持ち分比率21.2%)、後藤睦月(4.7%)、後藤高志(3.1%)、後藤俊子(0.8%)、となっており後藤家の保有率は30%で民間調査会社の調査では「非同族」となっているが、同社を私物化し好き放題のことをしている悟志の経営実態にあることから、同族経営であるのは間違いない。

太平エンジニアリングでは、先代の後藤一之氏から悟志が社長を引き継いだのが平成8年のことで、悟志が入社して僅か9年目のことだった。典型的な世襲社長だが、悟志の金銭に対する執着は度を越していて社長在任が長くなるにつれ会社私物化の本領を発揮してきた。自身の年収は3億円前後(プラス裏で2億円)というのに、役員は軒並み1000万円前後で本人は社用車を10台使っているが、役員には1台も無く、年商700億円を誇る優良企業にもかかわらず役員は皆電車やバスを利用している。

それだけではない。下請いじめも相当で値切りの方も半端でない。「一友会」に強制的に入会させ恣意的に競合をあおり、ダンピングに応じなければ切って捨てる。こうした下請会社に対する締め付けは全て後藤の指示、思惑であり、人を人とも思わない冷酷非情な後藤の人柄が窺い知れる。

しかし、その一方で後藤悟志には税務当局には無申告、つまり違法な手段で得た収入が年間で2億円はあるという指摘がある。どれほど有り余る金があっても金に飢え、法律を犯してでも蓄財に走っているのが、後藤悟志という人間の素顔なのだ。

若い女性にプレゼントするブランド品は、事情を知る関係者によると下請業者から密かに上納金を納めさせ、あるいは賭け麻雀では高いレートを仕掛けて、雀卓を囲んだ相手から巻き上げる。後藤の腕前はプロ級という評判ではあるが、「麻雀をやろう」と後藤から声をかけられた会社の役員や社員、下請け業者は断ることもできず勝つこともできずに、ただただ負け金を払わされる。その金が若い女へのプレゼントに化けると考えたら、さぞかし腹が煮えくり返るに違いない。しかし、後藤は部下や後輩、下請け業者がどう感じていようと、全く配慮していないようで、平然と勝ち金を受け取るという。

また、次のような事例もある。後藤悟志は2年ほど前に沖縄の土地約1万坪を地元の会社に売却して多額の利益を得た。その土地を取得したのは数年前に遡るのだが、実はその土地は反社会的勢力がしっかり絡んでいたために、土地の価値は高かったのにも拘わらず長い間誰も手を出せずにいた曰くつきの土地であった。

しかし、その土地を売買すれば相当な利益が見込めると分かると、後藤は土地の所有者と交渉を進めて、あっさりとグループ会社の名義で購入した。案の定取引に関われなかった反社会的勢力が騒ぎ出したが、その際、本来ならば後藤は警察に相談すべきだったが、裏で反社会的勢力の反発、攻撃を収めようと図って金銭で解決したという。

周知のように、沖縄県は平成23年10月1日に暴力団排除条例を施行しており、後藤悟志の行為は明らかに利益供与に当たる。利益だけに目を奪われて土地の売買に手を出し、揚げ句の果てには利益供与という法律違反を犯した後藤悟志にとって、この犯罪は氷山の一角に過ぎず、一族の崩壊に繋がる事は明白である。

後藤悟志には残念なことに度胸が全くない。抜群な経済力を背景にして企業のM&Aや不動産買収を子会社ともども手掛けている中で、荒稼ぎをする代償として反社会勢力との衝突が避けられない。後藤はM&Aを仕掛ける際に、当初は相手企業も満足するような条件で交渉に臨むが、途中で太平グループに都合の良い条件に変更して相手企業を事実上の乗っ取りにかけることさえ平気でやるという。それ故トラブルが起きるのは必至で、そうなると、後藤悟志は裏に隠れてしまい、仲介者に全権を委任して問題解決を図る。コンプライアンスが厳しい現代にあって、反社会的勢力の人間と写った写真があるだけでも大問題になるのに、金銭的な繋がりが発覚すれば暴力団排除条例の対象となり、即刻社会から抹殺される。

〇疑惑を持たれる脱税の手口

後藤による犯罪はまだあり、その一つが会社を舞台にした架空発注だ。これは彼にとって日常的なことであり、知人や下請業者へ仕事を発注したかのように見せかけ、送金した金を個人的にバックさせるという。昔から知られたB勘定にする手口だが、会社に損害を与える特別背任であり、後藤自身が受け取った金は当然無申告なので脱税も加わる。

脱税の手口は他にもある。後藤の所有している高級外車やクルーザーを使った脱税だ。車やクルーザーの減価償却は6年から7年だが、十分な減価償却をした後に第三者に販売した形を取り、キックバックを受け取るという手口だ。後藤は最近新しいクルーザーを買っているが、この手口のツールになることは間違いない。この金も一部はやはり女性へのプレゼントに消えるというから心底お金好き、女好きが窺える。

後藤悟志は無類の麻雀好きで、しかも腕前はプロ級である。毎週1回は卓を囲み、そのペースは10年以上続いている。誰もが彼を麻雀中毒だと思っている。相手は特に選ばず、自社役員、社員、下請会社、クライアント、経済界の顔見知りに至る。レートは高く、少し前に解任された黒川弘務東京高検検事長は千点100円で賭博容疑がかかったが、悟志のレートはこの比でない。声を掛けられた方も弱い立場の者が多く、実力を発揮出来ず負け分もしっかり取られる。彼の累計勝ち金は数千万円にも上る。麻雀で巻き上げた金は女性を口説くためのプレゼントへ変わる。エルメス、ヴィトン、シャネルなど下心丸出しでプレゼントを物色するのだから、みっともない限りだ。

後藤はブランド志向が強く、上場企業とトップと聞くと尻尾を振って媚を売る。取引先の東京ガスや三井不動産、日立ビルシステムほかゼネコン等の役員クラスへの貢ぎ物には金に糸目をつけない。女性へのそれと同様にブランド品や宝飾品を経費で落とし贈答している。

後藤悟志は次男でありながら創業会社の跡取りとして何一つ不自由のない状況の中で、好き放題に金への執着を強めてきた。事実上は裏金となる下請業者からの上納金は最低でも数千万円単位となる。架空発注によるキックバック、賭け麻雀の勝ち金、不動産取引で得た利益約10億円等、これらは全て悟志個人の脱税の裏付けになっている。

悟志を巡る脱税疑惑が発覚したとき、本人は勿論、実兄の高志は弟悟志の守銭奴ぶりをどこまで認識しているのか、相当うろたえるに違いない。

(写真:後藤高志。西武ホールディングスのトップに君臨するが、実弟悟志の不祥事にどう対応するのか)

実弟が刑事事件を起こせば、実兄もただでは済まないことぐらい判らないはずはない。悟志を巡るスキャンダルは金銭への度を越えた執着に根差しているだけに、表面化した時の衝撃は大きく、後藤一族を見る世間の目も大きく変わるだろう。特に社会人一年目の愛娘に対する影響は甚大だ。勤務先の一流証券会社に居続けられなくなる日も遠くない。悟志の存在がそもそも話題に上がったのは、兄高志の西武ホールディングス再上場の際、大株主との熾烈な争いが起きた8年前に遡る。大株主が「公開価格が安すぎる」と抗議し、それを受け付けない経営陣に対しTOBをかけるまでに発展した。西武グループ会社に粉飾決算の疑いがあるとか、真面目な高志についても女性社員との浮名が週刊誌に流れる中で悟志も注目されたが、悟志は日常的に悪さを働いている身故に相当に慌てた様子だった。蚤の心臓の悟志であるが、愚かなことに喉元過ぎて直ぐに熱さを忘れ、女遊びを止めることもなく金銭への貪りを今でも続けている。懲りない悟志に当局が看過するはずもない。自業自得とはこのことである。

後藤悟志の犯罪の数々や反社会勢力への利益供与が表面化すれば、金融機関は一発で取引を停止にするから、太平エンジニアリングは経営危機に陥るし、後藤家の面々も非難を浴びるに違いない。中でも実兄高志への影響は計り知れない。みずほコーポレート銀行から西武ホールディングスに移り、同社のトップとして再上場を果たしたが、実弟の不始末で泥を被ることになるだろう。高志も太平エンジニアリングの株主だから、コンプライアンスから見ても責任は逃れられまい。悟志はこれらの事をどう考えているのだろうか。昭和32年生まれで62年の人生を経た今、金の苦労は一切ないまま過ごして来たのに執着は人一倍で、常習の賭け麻雀、ゴルフのにぎり等この期に及んで止めようともしないのは、もしかしたら犯罪の認識がないのではないかと思わざるを得ない。

悟志は昨今、証券会社に勤務する一人娘への相続税対策に躍起になっている。少しずつバレないように資産を移し始めているようだが、これも節税の度を越すと当然脱税行為になり、実名も含め世間に知れ渡る。

悟志はこれまで触れられてきているようにいくつもの犯罪行為が絡み合っているので、本件も税の徴収だけでは済まされない。

後藤悟志の追徴課税は30億円ともささやかれているが、どうしたらこれほどの脱税が出来るのか。重加算税がかかる場合は、当然の如く国税は検察庁へ告発する。太平エンジニアリング並びに後藤悟志本人への厳しい調査は必至である。架空発注してからのキックバック、個人資産を法人資産へ換置した所得税逃れ、あるいはクルーザー売却に伴う減価償却を利用したキックバックの無申告等、もし反社会勢力への利益供与が表面化すれば不動産取引で得た個人所得の隠蔽が発覚するというように、事件の連鎖に歯止めが効かないだろう。後藤は若い女だけでなく仕事を貰う為に取引先の三井不動産や東京ガスその他、各業界のトップクラスへ常識を超えた貢ぎ物をしているので会社法(贈収賄他)に触れる可能性も十分に有り得る。まさに後藤悟志の身辺は脱税のオンパレードなのである。