②(石川美智代)
裁判で「連絡がつかない」とぼやく代理人を尻目に知らぬ振りか 「私は逃げない」の大うそ
石川美智代(戸籍上は小川だが、本稿では旧姓の石川を使う)の言動には嘘が多くあった。それも、肝心なところで自分の責任を回避するためにつく嘘だったから悪質で、周囲の人間に多大な迷惑をかける。中でも深刻な嘘は、夫である上司の小川部長の長年の使い込みに気付いていながら、というより会計事務所は当時より石川が共犯であると断言していて、経理帳簿でごまかしを続け増やし続けた使途不明金をそのまま計上していたことで、石川が辞める直前の経理帳簿には会社にあるはずの現預金1億円超がどこにもないという事態になっていた。会計事務所とは40年以上もの付き合いがあり、単に信頼関係があるだけでなく会計事務所も会社の事情を心得ていた。毎月の出納帳に記載されている8000万円以上の金の管理について会計事務所が社長に尋ねたのは6年以上前のことだったが、小川部長による使い込みと石川による帳簿のごまかしで使途不明金が増え続けた結果、平成31年時点で以前より3000万円以上増えて1億円を超えてしまった。経理帳簿のごまかしによる使途不明金のほかにも他人の保険料の使い込みが明らかになっている。夫婦による共同作業での使い込みは前代未聞で、それも、営業職から内勤に移動したことで収入が激減した小川部長に不満を抱いた石川が小川部長をけしかけたに違いないという意見が元社員や関係者の間では圧倒的だが、そう思わせるほど石川の挙動に不信があり嘘が多すぎた。しかも、小川部長が平成30年当時に社長宛に書いた書面が発見されたが、それには、小川部長が会社の金を横領したのは15年以上も前からのことで、その一部の1300万円に加え2200~2300万円の横領事実を認める内容の文言が直筆で書かれていた。
会社にある小金庫からダイヤが紛失しているのが判明して、その後、社長や関係者も同席して協議が行われる中で、石川が唐突に「会社を辞めます」と言ったのはダイヤ紛失から約1カ月後だった。石川はその時、「引越しの手配をして7月末には故郷に引っ越します。しばらくは兄の所で世話になります」と一方的に言ったので、社長は石川が実兄の仕事を手伝うと思い、やってはいけないことを好き放題にやったことが今回発覚した経緯から「きちんとした仕事をしないといけない」と一言忠告したが、「兄の所には事務員がいるので私は働きません」と石川が言うので、良かったと思ったようだ。社長は小川部長の使い込みが発覚して、それを石川が帳簿の誤魔化しでカバーしていた事実が判明した後も小川部長に頼まれ、仕方なく石川を雇用していたところがあったようだ。実は関係者が調べてみると、石川は今も夫の小川姓を名乗り、一緒に住んでいた東村山の住所地に住み続けているようで、協議の場で故郷に帰るという発言は嘘だった可能性が高い。小川部長は石川とは再婚になるが、前妻と離婚する時に慰謝料を3000万円支払ったという話を社長や以前の社員も部長より聞いていて、その話を石川にした時には石川も黙って聞いていたが、別の機会に石川は「私は300万円と聞いていました」とか「300万円を分割で払ったと聞いています」などと全く違う話をする。そのような話の食い違いに誰もが違和感を持ったが、小川にも石川にも金が無いことを強調したかったのだろう。しかし、自分の所在を不明にするのは最も不信感を与える。石川は会社を辞める際に「私は逃げません」と社長に直に言っていたが、やっていることは正に証拠の隠滅であり逃げだった。
ダイヤの紛失が明らかになった後、小金庫の鍵を保管している中金庫の鍵は石川が小川部長から引き継いで一人で管理していたが、「ダイヤの紛失はNの仕業に間違いない」と主張してもそれが通らないと思うと、何回も行われた協議の最後になって石川は苦し紛れに「中金庫の鍵と非常口の鍵は社長もスペアを1本ずつ持っています」と常識では考えられないことを言い出した。石川がそれを言う根拠にしたのは会社に常備している「保管リスト」だったが、実際には石川が故意に書き換えていた可能性もあった。保管リストは、不定期にしろ要不要をチェックする際に加筆や削除をしていたようだ。大金庫にしても、社長は金庫扉の開閉を石川に任せていたために、金庫を開ける際には石川に鍵を渡し、石川がダイヤルを合わせて扉を開閉する役目を負っていたくらいだった。何よりも会社の資産は経営者である社長の資産でもある。それを社長自身が盗むなどということは有り得ない事だ。
社長の指示を受けて保管リストを作成したのは小川部長と石川で、小口現金や重要書類ほかさまざまな鍵を保管している中金庫の鍵を管理していたのは石川しかいなかった。石川は、その責任を回避しようとして保管リストを黙って一人で修正したと思われる。
ダイヤ紛失が発覚して以来、石川の素性がさまざまな面で明らかになっている。小川部長の使い込みが、実は石川が焚きつけた結果によるものではなかったかという疑い、社長の前では猫を被り続けてしおらしく見せながら、実は本性は、相手かまわず食ってかかる姿を何人もの元社員や社長の友人知人が見て辟易としているというギャップの大きさ、さらには会社の文房具や消耗品を自宅に持ち帰り好き放題に使っていたという甚だしい公私混同、節約をする指示が出ていても従わず、日常で使ってもいない冷蔵庫を3台も通電させたり、使い終わっていない同じ洗剤等を放置して新しい洗剤を開けるために、いつの間にか使いかけの同じ洗剤が3本も4本も水回りにある棚に放ったらかしなっているなど、だらしなさが異常過ぎた。「自宅では奇麗好きで整理整頓ができ、無駄は一切なかった」と小川部長が言っていたこととはまるで逆だ。中には会社に届く社長宛の中元や歳暮は社長の自宅に転送することになっていたが、最近、石川が辞めて整理をしていると、3年前の飲料の詰め合わせ等がずっと放置されていたのが見つかった。恐らくは石川が転送を忘れ、あるいは自宅に持ち帰るつもりで会社に残していたのが消費期限切れになり、放置していたのではないかと見られている。こうしたさまざまの場面で石川の本性を目の当たりにした何人もの社員や関係者が、「今までに見たことが無いほどひどい女性だ」と口を揃えるのである。
何もかにも石川の責任にする気は毛頭ないが、前述したように肝心の所で嘘をつき責任を逃れようとすることが多すぎて、誰もが石川を心底から疑ってしまっているという状況が現実に起きているのだ。社長だけは「そんなことは無いと思う」と言っていたが、今は関係者全員と小川部長から聞いていた、石川が寝静まるまでは返りたくないと言っていたことの真相がよく分かったという。小川部長が日曜日も1か月に1回しか休まなかったことに、社長が「毎日曜日は休みなさい」と言っていたが、小川部長がそれには従わなかったことを、石川は「仕事を多く押し付けられるから」と反論していたが、引継ぎで小川部長の仕事をこなすのに1日に1時間もかからないことを理解していたはずだ。何か問題があり、その時に「こうです」と言ったことが、数日後には自分の都合のいいようにもっともらしく変わることが石川には多かった。前述した文房具や消耗品の持ち帰りでも、小川が元社員に会社で購入した文房具の持ち帰りを認めてさえいた事実があった。もちろん、文房具一つでも会社の資産に計上されているから、それを自宅に持ち帰るのは窃盗に当たるが、元社員が言っても部長は聞かないので、思わずその話を社長の耳に入れた。「部長に何回言っても、『大したことじゃない。君も持って帰って使ったらどうか』と言って取り合わないので、社長から何か言って下さい」と。そこで、社長が小川部長をたしなめるということになったが、石川も傍で聞いていて部長が平謝りしていたのを見ていたのに、その話が協議の中で出た時に石川は「小川は文房具に凝っていて、自分の好みのものを選んで買っていました」などと平然と言ったのである。石川が自分の都合に合わせて事実をすり替えようとする典型的な例の一つだろう。
これまでの特集で触れて来たとおり、ダイヤの紛失に係る石川の管理責任、会社に出入りしていたMの現金窃盗と帳簿上での使途不明金をMの責任にすり替えた疑いを持たれる石川の責任、さらに石川自身の給与に係るお手盛りの計算による過払い金等について、石川には金銭での責任の履行を求めているが、これに加えて会社が保管していた顧客への贈答品についても、このほど会社が契約している会計事務所より過去の在庫表が見つかったため、これを基に正確な保管状況が確認できることになり、改めて石川に対して責任を求めることになったという。
贈答品の在庫表についても、そもそもの管理を小川部長と石川が行ってきただけに、石川が退職する直前に社長が「在庫表は?」と尋ねると、石川が「無いんです」と言ったために、社長が「無いって、どういうことか。君が管理していたのだから、無いっていうのはおかしいだろう」と言っても、石川は「でも、分かりませんが、無いんです」と言うだけで、それ以上は口にしなかった。在庫表がなくなったことが分かった時に話をするならまだ分かるが、ダイヤの紛失盗難が起きてから言うことではない。
在庫表の紛失について石川の責任が問われるのは当然だった。本当に紛失していたら、小川の使い込みと同様に発覚した時に社長に報告するべきであるが、自分の都合で一切報告しなかった。しかし、在庫表が無い以上、またNが整理をした際に廃棄と保管のリストを作成していなかったために正確な確認ができないままだった。それが、会計事務所で見つかったことで正確なチェックができることになった。その在庫表は平成16年から同17年にかけてチェックしたもののようで、小川と石川が手書きで作成し、決算の時に会計事務所に提出したと思われるが、内容を調べてみると、ボールペン、計算機からブランド物のバッグや同じくブランド物のネックレス等に至るまで多くの贈答品が紛失していて、残っているものがわずかだったのである。しかも、末尾の合計金額を書く欄の横に「その他」という走り書きがあり、1200万円が計上されていた。前年度の決算に記載した金額とは大きく違うことを示すものに違いないが、すでに相当数にのぼる在庫資産が行方知れずになっていた可能性があった。贈答品の在庫管理及びチェックは小川と石川に引き継ぐまでの過去30年ほど、年に1、2度はチェックしていたが、一度も紛失が起きたことは無かった。今回、紛失した贈答品の金額は1700万円を優に超えていた。このことから、石川が引き継いでからの「在庫表がいつの間にかなくなった」という言動が俄かに疑われることになった。在庫表はなくなったのではなく、あってはまずいから故意に廃棄したのではないか。平成16年当時は、すでに事業を縮小した後で、それ以降は贈答品もダイヤも保管しているだけで販売に使用することもないし、もちろん仕入れによる数の増減もなかったから、この在庫表の通りに残っていて当然だった。それが、現在までの約17年間で大方の贈答品が紛失したのだから、当然、管理をしていた小川と後を引き継いだ石川の責任は重大であり、大掃除で整理をして廃棄と保管のリストを作成していなかったNの責任よりも石川の責任がはるかに重い。Nは管理の悪さでジーンズ等の布製品がカビたため廃棄したことに責任を感じていたが、これは社長が承知していたことであった。小川部長から引き継いだ後に贈答品とダイヤをチェックをして、仮に紛失しているものがあれば、当然社長に報告することになるが、石川は一切報告をしていなかった。それはただ、チェックをしなかったから報告しなかった、ということではないというのが関係者全員の意見である。ダイヤの紛失盗難が発覚したきっかけも、石川が周囲に誰もいない時間に、しかも一人でチェックして紛失盗難を発見するという極めて不可解な状況の中で明らかになっている。石川は在庫リストと数が合わないという事実を、チェックの前から知っていたのではないか。そうであれば、何故、その時点で社長に報告しなかったのか。
冒頭にも挙げたように、石川は自ら転居してしばらくは実家に身を寄せるという嘘をついていたことが発覚したことで、石川がダイヤの紛失に伴う責任の履行で「兄に相談するので一度帰省します」と言っていたことにも大いなる疑念が生じており、実際には帰省もせず実兄に相談もしていないのではないか。それを疑わせるのが、石川が実兄と相談した結果を持ち帰って社長と面談した際に、「兄は、そんな大金を支払えないと言っていました」と言うだけで、何をどのように相談したかについて石川は何一つ具体的な経緯を話さなかったばかりか、石川自身も責任処理についての意思表示をしなかった点にある。石川は社長に「私は逃げません」と言ったが、自身の責任の所在を明確にして、最低でも責任を取る、取らないという意思を明示するのが当然だった。そうでなければ、石川が何故「逃げません」と言ったのか、意味が全く分からない。それに自身の保険が900万円ほどあるので、それの受取人になってくださいと言っていたが、これは責任を認め、具体的な方法を提示したことになるが、社長が承諾しなかったことで、その後は口にしなかっただけでなく、それに代わる話を一切しなかった。
会社では関係者が石川の実兄宛に経緯の詳細と石川の責任を述べた書面を送っていたが、実兄からの返事には妹の多大な不始末を懸念し何らかの協議の場を持つという気持ちは一切感じられず、実兄自身が責任を負う立場にはないという、妹には非情とも取れる文言しかなかった。この返事を見る限り、石川がこれまでに会社で起きた責任を重く受け止め、真剣に実兄に相談したとは到底思えない(相談すらしていないとも思われる)。そのため、会社から手紙を実兄に送っていなければ、実兄は何も知らないままでいた可能性が極めて高く、今現在も事態の深刻さを実感していない可能性さえあるのだ。
石川が責任の処理について何も意思表示をせずに放置する状況が続いたことで、必然的に訴訟が提起され、石川が会社を食いものにした全ての実態が訴状に記された。しかし、実際にはそれで済まされる話ではなく、刑事的責任を問われる事態も想定されているのだ。現に、訴訟が提起されてから半年以上が経過しているというのに、代理人弁護士は請求内容を否認する答弁書を出しただけで、主張書面を一通も出していない。代理人弁護士によれば、「石川と連絡が取れていない」という理由しか裁判所に通知していないようだが、それが時間稼ぎであることは明白で、裁判官も態度を硬化させ「主張がなければ結審する」という意向を示しているようだ。しかし、石川がそのような対応を続ける限り、刑事告訴はより現実味を帯びる。そうなってからでは取り返しがつかないことを石川も実兄も認識するべきではないか。これだけいくつもの事件が重なれば、刑事責任を問われる可能性が間違いなく高まっているのだ。(つづく)