このほど、A氏の関係者の多く(以下、関係者という)が連帯して、最高裁長官を始め訴訟を担当した東京地裁の品田幸男裁判長と東京高裁の野山宏裁判長の3人に対し、原審と控訴審の判決がいかに誤ったものであるかを知らしめ、その判決を是正させる一環として弾劾裁判の設置と再審の扉を開くために鈴木並びに代理人弁護士3人に対する追及を一層強めることを宣言する書面を送っていたことが分かった。
原審と控訴審の判決に対する関係者による抗議は、まさに品田、野山の両裁判長に対する反省では済まない責任の重さを痛感して、選択によっては辞職することも当然であることを示唆している。また、同じく最高裁長官に対しては、恐らく今まで両裁判長の判決文を見てもいなかったに違いないから、しっかりと目を通したうえで両裁判長の認定がどれほど事実と真実を捻じ曲げているかをしっかりと見極めなければ、日本の法曹界全体に対する深刻な悪影響を及ぼす懸念があることを強調したものとなっている。
自分の強欲を満たすために西を利益分配で取り込み、A氏を裏切った揚げ句、自身も徹底的に嘘を重ねてきた鈴木義彦。本誌はこれまで鈴木義彦が国内外に隠匿している資金(資産)が1000億円以上に及んでおり、しかも鈴木が目的を達成するために外為法、金商法、税法など多くの法に触れる行為を繰り返してきたばかりか、周囲の側近や関係者を犠牲にして自殺に追い込み、あるいは不審な死を遂げたり行方不明になっている者が10人前後も存在していることを報道してきた。鈴木の行為が単なる悪事では収まらないほど悪質さの度が過ぎているにも拘らず、鈴木が世間で放任されていても良いのか、という疑念はそのまま鈴木を容認した品田、野山の両裁判長にも向けられる。
最高裁長官宛の書面には次のような記述がある。「特に三審制を取っている日本の裁判制度において、実際には控訴審、上告審での審理はほとんど行われず、手続き上の不備や新しい事実の提示が無ければ具体的な審理が行われないということになっている。三審制とは名ばかりというのが実態になっている。今回の事件のように、東京地裁における事実認定の誤りを正そうとしても、高裁が「審理は原審で尽くされている」と判断すれば原審判決が覆ることはほとんど無い。「新しい事実」の摘示という要件は裁判所が裁判所の権威を保つために独自に作ったハードルで、裁判官の判断の誤謬を正すという作業を阻害している」
周知のとおり、控訴審での判決は、審理を短期間に圧縮して具体的な検証を行わず、単に原審の判決を丸呑みで支持していることから、明らかに誤判である。しかも判決文に記載された内容は、原審の判決文の誤字脱字、あるいは原審判決に不足しているとの名目で加筆されたものが大半を占めており、控訴審判決は原審判決をいわば「清書」したに過ぎず、原審における判決を左右するべき重要な事実認定について、控訴審として独自に検証を行った形跡は見られなかった。
『絶望の裁判所』や『ニッポンの裁判』ほか『民事訴訟の本質と諸相』『民事保全法』など多数の著書を上梓している瀬木比呂志氏が昭和54年以降裁判官として東京地裁、最高裁等に勤務して来た経験から「日本の裁判所には、戦前と何ら変わりのない上命下服、上意下達のピラミッド型ヒエラルキーが存在して」いて、「何らかの意味で上層部の気に入らない判決」あるいは「論文を書いたから」という理由で突然左遷されると著書で明らかにしている。本来、裁判官は準備書面を熟読して事実関係を整理し、理由と結論を書くべきにもかかわらず、瀬木氏によれば「きちんとした判決を書けない裁判官が、準備書面をコピー&ペーストして判決文にしてしまうのが横行している」というのだ。本誌で問題にしていきた品田、野山の両裁判長も「合意書」の有効性や実行性については鈴木側の主張を丸呑みした格好で西や紀井の陳述を軽んじたり無視をして否定した。
原審で判決を主導した品田裁判長は、審理から判決に至る期間が3年間を要していたにもかかわらず、鈴木という人間の本質を見抜くことができなかった、というよりも見抜こうとする気持ちすらなかったのは明らかである。
品田裁判長による誤った事実認定は多岐にわたるが、例えば「合意書」の文面にある銘柄欄が空白であることや、「合意書」に署名指印したA氏と鈴木、西の3名の役割が明確ではないこと、株取引が実行される期間とその間に取り扱われた銘柄等が無限定であること、またA氏が株の買い支え資金を安定的に出すことが明記されていないことなどを理由に「合意書」の有効性を認めなかった。しかし、「合意書」の作成そのものがその場の成り行きから暫定的に作成されたものであったとしても、「合意書」に3人が直筆で署名指印している事実は重く、A氏に株の買い支え資金を出して欲しいと一人熱弁を振るったのは鈴木自身であるなど、「合意書」を作成するまでの経緯がそれを裏付けている。品田裁判長宛の書面には「会社経営者とはいえ、法律知識に乏しい者が作成した書面に法律家が作成するような書面を求めること自体が非現実的と言わざるを得ない。本件「合意書」の記載に不足があるとしても、書面を作成している事実から当事者間の合理的意思解釈を行い、合意内容が何であったかを追求・検討すべきである。記載内容に不足があることから「当該合意がなかった」と判断することには合理性は認められない。合意がないにもかかわらず合意書を作成することなど通常はあり得ないことである。平成18年10月16日の和解協議の場で「合意書」に基づいた株取引の詳細について話し合った中で、鈴木は宝林株の取得資金をA氏が出したこと、同じく宝林株取引が「合意書」に基づいて実行されたこと、平成14年6月27日にA氏への返済金の一部10億円を西に渡したという話が嘘で、実際には「合意書」破棄で西に渡した礼金であったことを認め、宝林株取引で上がった利益が60億円(鈴木は当初から利益は50億円と言って誤魔化した)であったとして、A氏に25億円を、西に25億円を支払うと約したことを品田裁判長は軽視して排除した。あくまでも「合意書」を無効にするために疑義が生まれる鈴木の発言を採用しなかったとしか考えようが無いのである。鈴木は宝林株の買付資金についても主張が三転四転したが、言い訳が無理だと思うと、仕方なしに認めるというやり方であった。
鈴木による虚偽の証言や陳述の中でも、鈴木の本質である強欲を示す材料の一つが宝林株800万株の取得経緯である。「合意書」に基づいた株取引が宝林株で開始されたのはA氏、鈴木、西の3人の間では周知のこと、というより鈴木と西が取り扱う銘柄はその時は宝林しかなかった。宝林株800万株の売却話を西が証券会社の平池課長から持ち込まれ、西が買取の交渉を進めて、平成11年5月31日に契約が成立したが、宝林株の現株の受け皿(ペーパーカンパニー3社)を用意したのは鈴木であり、現株の受け取りもペーパーカンパニーの用意で作業したフュージョン社の人間(町田修一と川端某)が行い、さらに翌6月1日付で金融庁に提出した大量保有報告書にも資金の出所で、鈴木は紀井義弘氏の名前を本人には無断で勝手に使い、実際に資金を出したA氏の名前を消してしまうという工作を行っていた。本来であれば、「合意書」締結の場で、鈴木はその事実と理由及び宝林株以後多数の銘柄で実行する株取引に紀井氏を起用するという事実をA氏に報告しなければならなかったが、鈴木は故意に触れなかった。西もまた鈴木と同様であった。西と鈴木は、親和銀行事件で被告の身となっている鈴木が宝林株売買に関わっていることが相手に知れると交渉が破談になることを恐れ、西が前面に出て交渉をやり遂げた。しかし、宝林株の受け渡しでフュージョン社の町田を立ち合わせて現株を手中に収め、受け皿となる外資系投資会社3社についても、西ではなく鈴木が全て主導する形を取り、さらに取得した宝林株の売りを鈴木が自らスカウトした紀井氏に任せるとなると、少なくとも上がった利益の金額と処理は鈴木が西やA氏に報告しないで済ますことが可能となる。そして、鈴木はその通りに実行することで利益を独り占めし続け、A氏は株取引の原資を供給していたにもかかわらず、鈴木により株取引の話から一人外される形となってしまったのである。
和解協議の場で和解書に鈴木が署名指印したことが「心裡留保に当たる」とする鈴木側の主張をそのまま採用した品田裁判長の事実認定は明らかに誤りである。和解協議の模様を録音したテープ、和解後に鈴木が自らA氏に電話をして和解書に鈴木が自らの意思で記した支払約束を追認した事実、和解協議から1週間後の平成18年10月23日に鈴木が自らの意思でA氏に電話をしてA氏の会社を訪ね、和解協議でのやり取りを再確認した事実、さらにはその後に鈴木がA氏に送った2通の手紙に書かれた内容等いくつもの事実が裏付けとなっているではないか。同じく書面では次のように記述している。
「そもそも当事者間で協議し作成した書面を『心裡留保』として無効とし、さらに従前当該書面記載の義務を否定する主張をしていたことを以て相手方も当該意思表示が心裡留保であると知っていたと判断されるのであれば、協議の中で一方当事者を説得し、支払について確認する書面の全てが『心裡留保』となりかねない。このような法的安定性を欠く判断を安易に、十分な論証もなく行うことは裁判所の存在意義を失わせかねない行為である。原審裁判官が被告を勝たせるために考えた苦肉の策なのかもしれないが、『心裡留保』を持ち出し、事実を歪めなければ至れない結論にどれほどの正当性・合理性があるものなのか、甚だ疑問である」
裁判での平林、長谷川の両弁護士が取った方針は、鈴木の虚偽証言を補強すると同時にA氏を必要以上に誹謗中傷することで裁判官たちの心証を有利に運ぼうとしたことにある。鈴木の虚偽証言は、平成18年10月16日の協議でいったんは認めた事実さえ覆してA氏側の請求を全て否定するものだったが、平林、長谷川の両弁護士の主張(陳述)はそれに輪をかけてひどいものだった。
A氏による鈴木への貸付について、A氏を「プロの金融屋」と規定して「有り得ないこと」という言葉を連発する一方で、A氏が反社会的勢力と密接な関係にあるだけでなくその暴力団関係者を金主元として金融業を営んでいると根拠もなく事実に基づかない主張を並べ立てた。
長谷川と鈴木の質疑応答をまとめた「質問と回答書」では、さらに踏み込んで、A氏が親密にしているという暴力団とそのトップを名指しまでした。また実際には面談の事実が無いのに「平成14年3月頃に(A氏に)呼び出され、完済したはずの債務の二重払いを迫られた」と言って、その後に鈴木が直筆で書いた15億円の借用書に偽の理由付けをしようと謀った。しかも、鈴木は西が自殺して真実を語れないことを悪用して、A氏と反社会的勢力の密接関係を西から聞いたと言い、「原告(A氏)に逆らえば、どんな危害を加えられるか分からず恐怖を感じた」とまで前記「質問と回答書」に書き記したのである。
品田裁判長が主導した判決は、以上のA氏側が主張する主な事実関係を、何ら理由を付すことなく悉く排斥してA氏の請求を退けてしまった。重要な事実認定をするに当たって、仮に的確な直接それを立証する物的証拠が不足していたとしても、A氏の請求が正当であることを裏付ける多くの事実があり、それを証拠として提出したにもかかわらず、原審の裁判官はその検証すらも怠り、漫然と鈴木の主張を採用したのである。そこには合理的な判断過程もなければ説得力のある論証もない。このように判決が余りに偏向しているために、裁判官としての適性を疑うだけでなく、品田裁判長に対する何らかの裏工作があったとしか考えようが無い疑いさえ多くの関係者が抱いている。
それ故、A氏の多くの関係者が品田裁判長に対する弾劾裁判所の設置を実現するべく、政府及び与党自民党有力議員に対し陳情を行っているところという。実際に、書面を受け取った最高裁の長官ほか当事者たる品田、野山の両裁判長は誤った判決の処理について、制度上では確定している判決を破棄するということはできないから、再審の場で改めて審理を行い「合意書」と「和解書」の無効という認定を一旦は取り消すしかないのだ。
鈴木がA氏に渡したと主張している15億円と10億円は、いずれも株取引の利益の分配であり、鈴木が「債務は完済した」とする主張が全くの虚偽であることがすぐに証明されるはずで、さらに鈴木が国外に隠匿している1000億円以上の資金(資産)についても、それが違法行為の繰り返しの中で蓄積されたもので、鈴木が証人尋問で証言したような外資系投資会社とのコンサル契約による報酬などでは100%有り得ないことも証明される。さらにいえば、10人前後にも上る自殺者、不審死者、行方不明者等の事件についても全容が解明されるきっかけとなるに違いない。